女性同士のセックスによって性感染症(STD)に感染する可能性はあるのでしょうか?実は、レズビアンセックスにおいても性病に感染するケースがあります。
コンドームなしでの男女のプレイやアナルセックスよりリスクは低いものの、レズビアンセックスでもどちらかが性病に感染している場合は、相手から感染する、または感染させてしまう可能性は十分あり得ます。
今回は、女性同士のえっち(レズビアンセックス)において、感染リスクが高い行為(プレイ)や、性病の疑いがある場合の対処方法について解説したいと思います。
まずは性病の感染経路について
主な感染経路は性行為(粘膜感染)
性病の主な感染経路は【粘膜感染】といわれており、オーラルセックスやアナルセックスを含む性行為(セックス)によって感染します。また、血液を介して感染する【血液感染】も代表的です。
【粘膜感染】は、主に男女が性行為によって、粘膜同士(ペニスと膣内)が接触し何らかの性病に感染する場合があります。挿入時の粘膜接触だけではなく、病原体を含む分泌液(精液、膣ちつ分泌液など)が、粘膜や傷口と接触することで感染する場合もあるため、コンドームを使用していても感染する場合があります。
【血液感染】は、血液などに直接触れることで、粘膜や傷口から感染します。特にアナルセックスは危険です。ゲイ、つまり男性同士のアナルセックスの場合、避妊する必要がないためコンドームを使用しないことが多く感染リスクを高めてしまいます。
肛門内の粘膜は非常にデリケートで、ペニスを挿入することで見えないくらいの小さな傷がつきやすくそこから感染してしまうからです。アナルだけではなく、血液をともなう激しいセックス、生理中のセックスは危険です。
性病は過去に1回でも性行為の経験がある人は、誰でも感染している可能性があります。
さらに、性病の多くは無症状かほとんど分からないくらいの症状です。一見、大丈夫そうに見えても病原菌を保有している可能性はあります。
喉(のど)に感染するケースも
性感染症は喉(咽頭)にも感染します。主にオーラルセックス(フェラやクンニ)によって喉の粘膜に感染し、喉のイガイガなど風邪に似た症状を引き起こします。オーラルセックスの一般化に伴い、喉への感染例が増えています。
性行為の経験がなくても発症するケースがある
実は、性行為の経験がなくても感染する性病が存在します。
代表的なのはカンジダです。カンジダ菌は膣内に存在する常駐菌であるため、誰でも発症する可能性があります。主に、体調不良時など免疫力が低下したときや、生理前後やピルの服用等でホルモンバランスに変化があったときに発症してしまうことがあります。
その他にも、不衛生なベッドやタオルの共用等によって、毛じらみやトリコモナスに感染する例があります。衛生環境が比較的整っている日本においてはあまり見られない事例ですが、これらは性行為がなくても感染する可能性があります。
また、性行為がなくても、注射針やカミソリの共有が原因で血液感染するケースもありますし、母子感染によってはなから性病に感染していたというケースもあります。
レズビアンセックスで性病感染リスクが高い行為とは?
上記の感染経路でもわかるように、女性同士のえっちでも性病に感染するリスクがあります。ここでは、女性同士の行為別で性病感染リスクを考えていきます。
キスやディープキスの性病感染リスク
キス、特にディープキスによって喉に性病が感染する可能性があります。一般的に、少しキスしたくらいでは感染することはまずありませんが、ディープキスや唾液交換などはリスクが高まります。
喉に感染する性病の代表例としては、咽頭クラミジアや咽頭淋病があげられます。性器にクラミジアや淋病が感染している内の約20%~30%の人が喉にも感染していると言われています。
クンニリンクス(シックスナイン)の性病感染リスク
クンニリンクス(シックスナイン)も喉へ(もしくは喉から性器へ)の性病感染リスクがあります。
通常、性病に感染している男性器(ペニス)をフェラすることで女性の喉に感染すること、また喉に感染している女性が男性器をフェラすることで男性器に感染する事例が多いです。しかし、女性同士のクンニリングスも性病感染リスクが存在します。
性病の種類によっては性器周辺(外陰部)にブツブツやただれのような症状を引き起こします。症状が出ている部分を舌で舐めることで喉へ感染する可能性があります。
感染者の体液(膣分泌物)には病原菌やウイルスが含まれます。膣の中まで舌を入れ込む行為や、愛液を舐める行為は感染リスクが高まります。また、相手の膣に入れた指を舐めたり、自分の膣に入れた指を相手の膣に入れることで感染するリスクが高まります。
貝合わせの性病感染リスク
女性器同士を擦り合わせる『貝合わせ』も危険です。性器と性器が接触するため感染リスクが高まります。
特に性器周辺に何らかの症状がある場合は、女性器同士をすり合わせることで性病感染リスクが高まります。また、愛液(膣分泌液)にも性感染症の原因菌やウイルスが含まれている場合があるため、膣挿入がなくても感染する可能性があります。
ローターや電マなどのおもちゃでの性病感染リスク
ローターや電マなどの使用だけで性病に感染することはまずありません。これらのおもちゃ(セックストイ)は、基本的に膣内に挿入しないことと、たとえおもちゃに病原菌が付着したとしても、ほとんどの性病の病原菌は人から離れるとすぐに死滅してしまうからです。
ただし、ローターなどのおもちゃの使いまわしや、使用したおもちゃを口に入れたり舐めることでややリスクが高まります。また、おもちゃを清潔に保たなければ、一般の雑菌が繁殖してしまう可能性があります。
挿入器具(バイブ・ディルド)の感染リスク
レズビアンセックスに使用されやすいバイブやストラップつきディルド(ペニスバンド)の使いまわしによって性病に感染する可能性があります。
ローターや電マ同様、ペアの片方の人に使用する際はそこまで感染リスクは高くありません。しかし、膣挿入した後すぐに使いまわし(相互挿入)することで、バイブなどディルドに付着している体液が、粘膜に付着し感染する可能性が高まります。
レズビアンセックスの性病予防
実は、レズビアンセックスにおいては、性病対策を意識する人は比較的少ないと言われています。妊娠する心配がないためコンドームを使用することがないことも意識低下につながっています。では、レズビアンセックスにおいて、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?
指用コンドームやデンタルダムを使用する
女性同士のセックスでは、指用コンドームなどの保護具がほとんど使われていないとのことが問題視されています。特に女性は爪が長くなりがちなため、指用コンドームなしで膣内に指を挿入することで、膣内に小さな傷をつけてしまう可能性が高まります。
それから、口腔感染症対策(喉への感染)もしておいたほうがいいでしょう。デンタルダムといって、オーラルセックス用に改良されたゴムのシートの使用も有効的です。ゴムやビニールを舐めるのは抵抗を感じるかもしれませんが、一般的な性病(クラミジアや淋病)に感染しないためには、この予防法が有効なのです。
ディルドやおもちゃの使いまわしは避ける
ディルド、つまり男性器を模した大人のおもちゃの使いまわしは危険です。
振動機能付きのバイブ、固定ストラップ付のディルド、双頭タイプのディルド、アナルセックス用の細いディルド、どれも使いまわすことで性病感染のリスクが高まります。
特に、相手に使用したあとすぐに自身に使用することは、相手の精液(膣分泌液)を介して性病感染する恐れがあります。お互いに好みのディルドを使い分けるなどの工夫が必要です。ネコ側とタチ側など役割が決まっていて、使用するディルドやおもちゃも決まっていたほうが安心できます。
生理中の性行為は避ける
生理時の子宮の中は、子宮内膜がはがれ落ちている状態にあるため、膣内がいつも以上にデリケートになっていて、敏感で傷つきやすくなっています。
また、生理の血の中には雑菌が多く含まれているので、生理中のセックスによって感染症を引き起こすリスクが高くなります。
さらに生理中は免疫力が低下する傾向があります。バリア機能の低下により、クラミジアや淋菌などの性感染症にかかるリスクも高くなります。特にディルドの使用や共有(使いまわし)やオーラルセックス、貝合わせなどの行為は避けましょう。
番外編:レズビアンセックスで性病に感染したら浮気?
ペアのどちらかが性病に感染したら『もしかして浮気?』と、どうしてもそういった疑いを持ってしまうこともありますよね。【性病=性行為】というイメージが強いためです。
そこで、本記事の内容とは少しずれますが、ペアの片方が性病に感染したら浮気かどうかについて考えたいと思います。
結論から言いますと、ペアの片方が性病に感染しても浮気確定とは言えません。
明らかに浮気の証拠がある場合は別ですが、ペアの相手が性病に感染したとしても浮気と考えずに検査や治療に専念すべきでしょう。
なぜなら、性病は1度でも性行為を経験した方は感染する可能性があるからです。
実は、性病に感染した人の大半は、無症状か自覚症状がほとんどない程度のことが多いのです。しかし、感染からかなり時間が経っているにも関わらず、免疫力の低下や性行為などをきっかけに症状が悪化するケースもみられます。
つまり、過去のパートナーとの性行為によって感染していたとも十分考えられますし、こういった理由から感染機会を正確に特定することはとても難しいのです。パートナーが性病に感染したり、自身が感染してしまうと『浮気を疑う・疑われる』ということが心配になりますが、できるだけ気にしないようにし、まずはしっかり検査・治療に専念すべきです。
対処方法:性病検査や治療について
女性同士のセックスの後、性器周辺や喉に異変を感じた場合、もしかしたら性病に感染している可能性があります。念のため性病検査を行いましょう。なぜならほとんどの性病は自然治癒しない病気なため、治療が必要だからです。
まずは性病検査を
また、性病のほとんどは自然治癒しないうえに、性病の種類によって治療薬が異なるため、どの性病に感染しているかを特定することが大切です。
性病を放置することで、症状が進行し不妊症や子宮外妊娠、または子宮がんなど重症化する原因となる可能性があります。
クラミジアや淋病などは早期に発見し正しい治療をすることで完治する病気です。一度感染すると菌やウイルスが体内に残って一生の付き合いとなる種類もありますが、現代の医療の発展により、早期発見することで重症化を防ぐことができるようになってきています。
実は、性器周辺に何らかの異変を感じて性病検査を行っても【陰性(性病じゃなかった)】という事例も多いです。陰性を確認てきた方は安心して日常に戻れますし、万が一陽性であっても、早期に治療に専念することができるため、『ちょっと気になったら性病検査をやってみる』ことが大切なのです。
性病治療はペアで
万が一、性病と判定された場合は、セックスパートナーに事実を伝え一緒に検査・治療していきましょう。ペアのどちらかが性病に感染している場合、相方も感染していると考えたほうが妥当だからです。
性病とわかっても、デリケートな問題なため相手には言いにくいとは思いますが、ペアのどちらかが完治していない状態で性行為を行うことで、パートナーとのピンポン感染を引き起こし、いつまでたっても治りません。どちらかが性病のことを黙っていても、後ろめたさがあり気持ち良くセックスできません。
性病検査は何科?性病検査の受け方について
女性の性病検査は、性病科や婦人科(産婦人科)を推奨しています。
喉に異変がある場合は耳鼻咽喉科、性器周辺に症状がある場合は一部の皮膚科でも受診することができますが、性病や性器周辺の専門医診てもらったほうが治療がスムーズなことが多いため、性病科や産婦人科での診察がおすすめです。
その他にも、郵送検査というものがあります。これは、医療機関から性病検査キットを購入して、自宅で自分で検体を採取する方法です。病院に行くことに抵抗がある方や、誰にも知られずに検査をしたい方におすすめです。
まとめ:レズビアンセックスも性病感染リスクがある
通常、性病は男性器と女性器の粘膜感染が主な原因で感染します。コンドームを使用することで感染リスクを低下させることはできますが、キスやオーラルセックス、アナルセックスなどでも感染する可能性があります。
レズビアンセックスにおいても、唾液をやりとりするディープキス、性器を直接舐める(クンニ)、ディルド(おとなのおもちゃ)の相互挿入等で性病に感染する恐れがあります。
しかも、ほとんどの性病は自然治癒しないため、いったん症状が治まっても性器周辺に存在し続けて何らをきっかけに再発することも。たま、正しい治療をせず放置することで重症化リスクが高まります。
性病かも?とモヤモヤとした気持ちでのセックス(えっち)は、お互いに気持ちが乗り切りませんし、その不安から日常生活にも支障をきたす場合があります。『もしかしたら性病かも?』と思ったら、早めに性病検査を受けることが大切です。