性器ヘルペスの症状や感染経路、潜伏期間、検査方法まで徹底解説！

『性器に赤いぶつぶつができた…』

『性器周りに小さい水ぶくれがたくさんできた…』

その症状、もしかしたら性器ヘルペスかもしれません。

性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1型（HSV-1）または2型（HSV-2）の感染によって、陰部に水疱や潰瘍ができて痛みやかゆみが出て、時には高熱の症状もでる性感染症です。

今回は、性器ヘルペスの原因、症状、、潜伏期間、感染経路、さらに検査方法や治療方法まで、わかりやすく徹底解説したいと思います！

性器ヘルペスの症状や感染経路について

「単純ヘルペスウイルス（HSV）」の1型または2型の感染によって起こる病気です。正式な病名は「性器ヘルペス」といいます。原因のウイルスは2種類あり、口唇は1型、性器は2型のウイルスが感染すると言われていました。しかし、最近ではオーラルセックスの一般化にともない、1型・2型の区別はなくなってきています。

性器ヘルペス発症の区分

性器ヘルペスの症状で、初めて症状の現れた場合を「初発」といい、初めて感染した場合には「初感染」と呼んで区別します。感染したときは無症状がありますが、何らかのきっかけで性器ヘルペスウイルス（HSV）が再活性化されることで、症状が初めて出現する場合があり、これを「非初感染初発」と呼びます。

さらに初発ののち症状の出現がしばしば繰り返されることが多く、この場合は「再発」あるいは「回帰発症」と呼びます。これらは【初発・非初感染初発・再発】とおおまかに3つの区別されていますが、男女ともに同じような症状が出ます。女性の初感染で早期治療できなかった場合、激しい痛みを伴うことがあります。

性器ヘルペスの主な症状と潜伏期間

性器ヘルペスウイルス（HSV）に感染してから症状が出るまでの期間、つまり潜伏期間は2日～10日ほどと言われています。

◆男性の主な症状

発症の種類	主な症状
初めての感染で症状が出た場合 （初発）	最初は患部の表面にヒリヒリ感やむずかゆさなどを感じることがあります。2〜10日ぐらいでかゆみを伴った1〜2mmの赤いブツブツや水ぶくれができ、それが破れて潰瘍（ただれたようなもの）ができます。 また、強い痛みがあり発熱を伴うことがあります。同時に太もものリンパ節の腫れや痛みが見られ、亀頭や陰茎体部に症状が出ることが多いですが、太ももやおしり、肛門周囲、直腸粘膜に症状が出ることもあります。
感染した時は症状はなく、その後症状が出た場合 （非初感染初発）	初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなりますが、免疫不全者や高齢者では症状が重いです。
再発した場合 （再発・回帰発症）	1年以内に8割以上が再発すると言われています。 過労・セックス・ストレスなどの刺激がきっかけで再発することが多く、初感染の時と同じ箇所、またはおしりや太ももに水疱や潰瘍ができます。初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなります。

◆女性の主な症状

発症の種類	主な症状
初めての感染で症状が出た場合 （初発）	子宮頸管や膀胱、性器周辺に水ぶくれや潰瘍（ただれたようなもの）ができます。強い痛みで排尿が困難になることもあり、発熱を伴うこともあります。同時に太もものリンパ節の腫れや痛みがみられます。 症状は、外陰、腟の入口とおしりなどにもみられ、子宮頸管や膀胱にまで感染が広がることもあります。
感染した時は症状はなく、その後症状が出た場合 （非初感染初発）	初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなりますが、免疫不全者や高齢者では症状が重いです。
再発した場合 （再発・回帰発症）	1年以内に8割以上が再発すると言われ、過労・セックス・ストレスなどの刺激がきっかけで再発することが多く、性器またはおしりや太ももに水疱や潰瘍ができます。 再発する前に、腟の入口の違和感や太もも周辺に神経痛のような痛みなどの前兆が見られることもあります。初感染の場合よりも症状は軽いことが多く、治るまで期間も短くなります。

◆咽喉（のど）へ感染した時の症状

症状の種類	主な症状
初めての感染で症状が出た場合 （初発）	性器ヘルペスは咽喉（のど）への感染もみられます。 のどの主な症状としては、のどの強い痛み、つばを飲み込む時の痛み、摂食障害、高熱、くびのリンパ節の腫れ、扁桃が赤く腫れる、白い膿などがあります。
再発した場合 （再発）	のどで再発した場合は、のどの痛みや、ヒリヒリなどの症状はありますが、初感染よりも比較的軽いことが多いです。

性器ヘルペスは何度でも再発する可能性がある

ヘルペスは治療を行わない場合でもおおむね２～３週で症状は消えます。ただ1度感染するとウィルスを完全に排除できないため免疫力が低下した時などに再発を繰り返すことが多いです。

過労・セックス・ストレスなどの刺激がきっかけで再発時には神経を伝って粘膜や皮膚などに病変を作ります。はじめて感染した時よりは症状が軽いことが多いですが、また再発を抑える治療が可能になっています。比較的に見た目で分かりやすい疾患ですが、その他性感染症(STD)にも似た症状がありますので、もしかしたら違う性病かもしれませんし、複数感染の可能性もあるため自己判断は危険です。

性器ヘルペスは、皮膚や粘膜などにできた目に見えないほどの小さな傷から感染します。そのため性的パートナーが多いほど感染リスクが高まります。年齢別にみると性的活動が盛んな20代以降での発症が多くなっており、特に女性は、性行為時の摩擦により膣内の粘膜に微細な傷ができやすいため、男性よりも感染リスクが高い状況です。

性器ヘルペスの感染経路は主に性行為

主な感染経路はセックス（オーラルセックス・アナルセックスを含む）です。

性器の粘膜や分泌物、病変部等にウィルスが存在するため、それらの場所への接触で感染します。しかし、症状が出ていないときでも、性器の皮ふや粘膜にウイルスが出てきてパートナーに感染することもあります。

また、セックスパートナーが多い人、不特定多数とのセックスをしてしまった人は感染機会が多いため、その分感染リスクも高まります。

性器ヘルペスと唇ヘルペスは同じもの？

原因のヘルペスウイルスは2種類あり、口唇は1型、性器は2型のウイルスが感染すると言われていました。しかし、最近ではオーラルセックスの一般化にともない、1型・2型の区別はなくなってきています。

また、口唇ヘルペスの症状がある時にフェラやクンニなどのオーラルセックスをすると相手に感染します。また、性器のような粘膜以外の胸やおしりなどへも感染することがあります。

性器ヘルペスの母子感染リスク

性器周辺にヘルペスの症状が出ている時に出産することで、赤ちゃんに感染する可能性があります。母子感染を防ぐため、お産の時にヘルペスの病変部がある場合は、帝王切開がすすめられています。

性器ヘルペスの検査について

性器ヘルペスは重症化はしにくいものの、他の性感染症（STD）とよく似た症状もあるため、複数感染の可能性も含めて検査することを推奨しています。

性器ヘルペスの検査方法

性器ヘルペスの検査は『視診』と『ウイルス検査』または『血液検査』を行います。

患部の水疱などの病変部から検体を採取してウイルスそのもの（抗原）を調べる検査と、採血して抗体検査を行うことにより血液中の単純ヘルペスウイルスに対する抗体を調べるものがあります。

検査方法	説明
視診	医師が直接、水ほうなどを観察して診断します。
血液検査	採血して抗体検査を行うことにより血液中の単純ヘルペスウイルスに対する抗体を調べる
ウイルス検査	病変部分からウイルス感染細胞を綿棒で採取し抗原検査を行います。

性器ヘルペスの検査場所と検査費用

性器ヘルペスを含む性病の検査は、病院などの医療機関や保健所があります。また、郵送検査である性病検査キットでも高い精度で性病検査が可能です。

検査場所	説明
病院	病院（男性）：泌尿器科、皮膚科、性病科、耳鼻咽喉科（のど） 病院：婦人科(産婦人科)、皮膚科、性病科、耳鼻咽喉科（のど） 検査費用：約5,000円～15,000円 ※保険適用外の金額の目安です。症状がある場合は保険適用になり3割負担が適用されます。
保健所	各都道府県の保健所 ※保健所での性病検査は基本的には無料です。しかし、保健所では性病検査ができる日が月に1回など日程が決まっていることや、検査項目が限られているため、事前に電話で確認が必要です。
検査キット	GME医学検査研究所・さくら検査研究所・アルパコーポレーション・ふじメディカル・予防会 検査費用：約5,000円～7,000円 ※性病検査キットでの検査は病院へ行く必要もありませんし保険証不要です。詳しくは『性病検査キットの６つのメリット！』を参照してください。

性器ヘルペスの治療や予防について

性器ヘルペスは初感染初発の場合、2〜3週間で自然治癒しますが、単純ヘルペスウイルスの増殖を抑制する抗ヘルペスウイルス薬を使用すると、治癒までの期間を短くすることが可能です。

性器ヘルペスの治療方法

性器ヘルペスの治療方法は「初発」と「再発」によって異なります。

発症の種類	主な治療方法
初発	抗ヘルペスウイルス薬の経口投与を5～10日、重症例では7～10日間程点滴を行うことがあります。 今現在の抗ヘルペスウイルス薬は、神経筋に潜伏感染している単純ヘルペスウイルスを完全に排除することはできません。つまり、抗ヘルペスウイルス薬で治療しても、再発を免れることはできません。
再発	抗ヘルペスウイルス薬の経口投与を5日間行います。ただし、発症してから1日以内に服用を開始しないと有意な効果が得られないので注意が必要。 また、再発の前駆症状である局所の違和感や神経痛様の疼痛があるときに本剤を服用すると、病変の出現を予防できることがあります。

性器ヘルペスの治療薬について

単純ヘルペスウイルスの増殖を抑制する、抗ヘルペスウイルス内服薬としてバラシクロビル（バルトレックス）、ファムシクロビル（ファムビル）などが使用されます

また、軽い症状では軟膏塗布としてビタラビン（アラセナ）、重い症状では、入院して点滴治療も行います。

感染機会に心当たりがある方はすぐにでも検査を！

性感染症は、性行為の経験があれば誰でも感染する可能性があります。また症状が軽度や無症状のことが多いため検査をして初めて感染に気付くことがほとんどです。放置してしまうとパートナーとのピンポン感染や症状の重症化、不妊症の原因になることがあるため、必ず検査を行いましょう。