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性病の薬・抗生物質特集

HIV(エイズ)の治療薬とは?治療費とその負担を軽くする制度も紹介します

「HIVの治療薬ってどんなもの?費用は?」「HIVの治療費はどれくらいかかるの…?」「HIVの医療費を軽くする制度ってどんなものがあるの?」などなど、HIV感染が検査で発覚すると治療に進みますが、このような疑問や不安を持つ人も多くいます。

HIVの治療費はとても高額です。そのため医療費の支援制度が用意されています。本記事では、HIV治療でかかる治療薬や治療費、負担額を軽減する制度などを紹介します。

参考:HIV(エイズ)の症状や感染経路、検査方法について

HIV(エイズ)の治療薬について

HIVの治療薬は、長年の研究を経てその治療法が進歩し、以前はとんどのHIVの患者さんが亡くなっていた状況でしたが、現在では免疫機能が大きく低下していない早期段階で治療を開始すれば、比較的安定した状態で生きていけるまでに改善しています。

HIV(エイズ)に感染すると…

参照:Wikipedia

まずはHIVに感染することで、人体へ影響が起こるメカニズムについて簡単に解説します。

ヒトの体には、病原体を排除するための免疫(めんえき)というしくみがあり、血液の中の白血球の仲間たちがこのしくみを支えています。その中でも CD4陽性細胞というものが司令官の役割を果たします。

通常、病原体が侵入しても、司令官が白血球の仲間たちに様々な指令を出して病原体を排除していきます。しかし、HIV(エイズウイルス)に感染すると、エイズウイルスがその司令官である「CD4陽性細胞」にくっつき増殖し、最終的には破壊してしまいます。

さらに増殖したエイズウイルスは、どんどん他の「CD4陽性細胞」にくっつき増殖と破壊を続けます。これによって、正常な免疫(めんえき)のシステムが保てなくなり、さまざまな病気を発症してしまうという訳です。

HIV(エイズ)の治療薬の種類

HIVの治療には、抗HIV薬を3剤以上併用した強力な「ART(多剤併用療法)」が主流です。HIVの薬は3種類があり、それぞれ作用機構が異なります。これらの作用はHIVの増殖を抑えるという点では同じです。

核酸系逆転写酵素阻害剤 逆転写酵素阻害剤の1つで、逆転写酵素という酵素の活性を阻害し、ヒト免疫不全ウイルスHIV)の宿主細胞への感染を抑えるお薬です。
非核酸系逆転写酵素阻害剤 逆転写酵素阻害剤の1つ。核酸に似た構造を持たない逆転写酵素阻害剤のこと。逆転写酵素に結合し、活性部位の立体構造を変えることにより酵素の阻害効果を発揮する。
プロテアーゼ阻害剤 新タイプのエイズ治療薬。ウイルスはリンパ球などのたんぱく質をプロテアーゼで壊して自分用に作り変えるが、プロテアーゼ阻害剤はこの過程を邪魔する。

現在では、これらの薬を複数合わせて処方する方法によりウイルスの増殖を抑えます。この方法は耐性ウイルスの出現も抑えてくれます。

1990年代頃までは、エイズは死に直結する病気ととらえられていましたが、状況はずいぶん変化しています。これらの薬によって先進国でのエイズのイメージはかなり変わりました。

HIVの治療(多剤併用療法)と問題点について

HIVの現在の治療法は、抗HIV薬を3剤以上併用した「ART(多剤併用療法)」が主流とお伝えしました。ARTの利点は、長期間にわたり血中のHIVウイルスの量を抑制し続けることで免疫機能を正常範囲に保ち、合併症の発症防止を目指す治療で、1日1回の服用だけで行える点にあるといえます。

ただしARTでは、ウイルスの増殖を阻止することはできますが、現在の技術でも完全にHIVを除去することはできません。つまりエイズが治ることはないため、薬を一生涯に渡って飲み続けなくてはいけない問題があります。

また、耐性ウイルスの出現も注意が必要です。なぜならHIVはもの凄い速さで進化します。もし適切に薬が処方されなかったり、患者が薬の服用を怠ったりすると、すぐにウイルスは耐性を獲得して薬が効かなくなる可能性があります。HIVの治療薬は、毎日正しく服用する必要があります。

さらに、ARTによる治療では患者さんの老化スピードが速まるともいわれています。どの程度かは明らかではありませんが、HIVに対する抗ウイルス療法にはまだまだ課題が残されていることが現状です。

HIV(エイズ)の治療費

優れた治療効果が期待できる抗HIV薬は、決して安い薬ではありません。 保険適用外の場合、1ヵ月あたり約15万円から20万円かかります。

健康保険を使えば3割負担になりますが、それでも毎月約5万円から6万円、年間では約70万円もかかりってしまいます。

これだけの治療費を一生払い続けるのは、多くの人にとって容易なことではありません。 ですが、HIV感染者の医療費負担を軽減するさまざまな制度があり、それらを利用することで治療費の負担を軽減することができます。

HIV(エイズ)の治療費の負担を軽くする制度

HIV感染者が使える医療費負担を軽減する制度にはいくつかの種類があり、 「身体障害者手帳」「自立支援医療(更生医療)」「重度障害者医療費助成制度(障害者医療)」「高額療養費制度」「特定疾病療養受療証」などがあります。 それぞれ個別で見てきましょう。

身体障碍者手帳

HIV感染者は、「身体障害者手帳」を申請することができます。 身体障害者手帳とは、「身体障害者が、健常者と同じような生活を送るために最低限必要な援助を受けるための手帳」のことです。

HIV感染と身体障害が結びつかない人もいるかもしれませんが、「免疫機能障害」に該当するため、身体障碍者と認定されるため、HIVに感染したら申請することが一般的です。障害の程度によって等級が分かれており、HIV感染者の場合は1~4のいづれかの等級で取得できます。(※1級が1番重い)

1級 免疫機能の障害で、日常生活がほとんど不可能
2級 免疫の機能の障害で、日常生活が極度に制限される
3級 免疫の機能の障害で、日常生活が著しく制限される
4級 免疫の機能の障害で、社会での生活活動が著しく制限される

障害者手帳の申請など『直接窓口に行くのに抵抗がある』という方は、郵送で申請を行うこともできます。また、医療ソーシャルワーカーなどの代理人に代理申請してもらうことも可能です。

自立支援医療(更生医療)

自立支援医療(更生医療)は、身体障害者手帳を持っている18歳以上の方が利用できる制度。ただし、18歳未満であれば、身体障害者手帳がなくても利用が可能です。

対象となるのは「抗HIV療法、免疫調節療法等、HIV感染に対する医療」に限られます。HIV感染に関連する治療療費が、原則として1割負担となります。

また、月額の医療費負担上限額も世帯収入によって決められています。

上限 対象
生活保護を受けている世帯 上限0円
世帯年収が80万円以下 上限2,500円
それ以上の年収 上限20,000円

生活保護を受けている世帯は上限0円、つまり無料ということです。このように自立支援医療(更生医療)では、1割負担と自己負担割合が低く、尚且つ、月額の上限が決められているため、 健康保険よりも大きく負担を減らすことができます。

重度障害者医療費助成制度(障害者医療)

医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を県と市町村で助成する制度です。

重度障害者医療費助成制度(障害者医療)は、利用する所得制限はありますが、身体障害者手帳を1~3級で取得すると利用できる制度です。自治体によっては1~2級でも取得することができます。

HIV感染に限らず、あらゆる病気の治療を無料またはかなりの低額で受けることができます。自立支援医療との併用など詳細については各自治体に問い合わせてみましょう。

高額療養費制度

高額療養費制度は、身体障害者手帳を取得していなくても使える制度です。加入している公的医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出し支給を受けます。

医療機関の窓口や薬局で支払った額が一定額(1か月の限度額)を超えた場合に、超えた分が返金される制度です。年齢や所得に応じて上限が決められています。

特定疾病療養受給者証

治療期間が長く、高額医療を続けて行う必要のある血友病や血液製剤投与に関係するHIV感染症の方が対象の精度です。加入している公的医療保険の窓口に申請することで「特定疾病療養受療証」が交付されます。医療費の自己負担上限額が10,000円になります。

生活のためのお金が支給される制度

病気のために仕事ができなくなってしまった場合は、生活のための費用を支援する制度に「傷病手当」や「障害年金」、「生活保護」などがあります。

傷病手当

傷病手当とは、病気やケガによって仕事を休まなければならなくなった場合に、健康保険組合から標準報酬日額の3分の2相当の金額が支払われる制度です。

初回の申請日から1年半の間に「休んだ分」だけ支給されます。1年半を過ぎると支給されないため注意が必要です。 また、障害年金を受給している場合は金額が調整されます。

障害年金

障害年金とは、障害が理由で働けない、労働内容に制限があるなど、生活が長期にわたり困難な状態にある場合に生活費を保障する制度のことです。

生活保護

生活保護とは、生活保護の受給を希望する人が、資産や働ける能力など全てを活用したとしても、生活に困窮する場合に、健康的で文化的な生活を送れるよう最低限度の保障をする制度です。

制度を利用することで会社や周囲に知られてしまうことはある?

やはりHIV(エイズ)というと印象があまりよくないことが現状で、自分がHIV感染者だと知られたくないと心配な方も多いです。

申請先の医療機関や自治体には、厳重な守秘義務が課せられているため、個人が特定される情報が国などに報告されることはありません。申請することで、会社にばれることもありません。

会社の健康保険を使っている人は、病院から会社に医療費の請求がいきます。健康保険組合に送られる診療報酬明細書には病名、処置内容、検査、薬品名などが記されていますが、その情報が渡るのは健康保険組合までで、会社に病名まで伝わることはまずありません。

注意点としては、障害者手帳で障害者控除を受ける場合は源泉徴収の際に会社に申告する必要があります。そして、「なぜ障害者控除を受けているのか」の説明を求められるケースもあるため、そこで会社に知られる可能性はあります。そのため、障害者控除を受けない選択をしている方も一定数いるということが現状です。

さいごに

HIVの治療薬はとても高価なお薬です。もし、HIV(エイズ)の治療は今の段階では一生涯かかるため、それゆえかなり治療費がかかってしまいます。しかし、上記のようなHIVの治療をサポートする国の保証制度があります。ご自身合った保証制度を、医療ソーシャルワーカーなどとよく相談して自分に合った制度を活用しましょう。

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