『性病』というとクラミジアを想像する方も多いのではないでしょうか?有名な性病の1つで、それだけクラミジアは感染力が強く多くの感染者が出ています。それではクラミジアの症状や感染経路、検査方法や治療・治療薬について解説します。
クラミジアってどんな病気?
クラミジアとは最も一般的な性感染症の1つで、日本国内の感染者は40万人以上といわれています。「クラミジア・トラコマティス」という病原菌が原因で、性器や直腸などに感染して炎症をおこします。
(※性感染症の一種で正式な病名は「性器クラミジア感染症」です)
ほとんどの人は症状を感じることがなく、知らない間にパートナーに移してしまうことがあります。また、オーラルセックスで咽喉(のど)へ感染してしまうことも。
クラミジアの主な症状
- 排尿時の軽い痛み
- 尿道のかゆみや不快感
- 尿道から透明〜乳白色の膿(うみ)が出る
- 精巣上体(副睾丸)の腫れ
- 軽い発熱や痛み
- のどの腫れや痛み
淋菌感染症(淋病)の症状とよく似ており、淋病も尿道からの膿がでます。淋病の膿は黄色がかっており粘度もあり排尿痛も強い傾向です。クラミジアの場合は色が透明でややさらさらした膿の場合が多いです。
- おりものの増加
- 生理以外の出血(不正出血)
- 下腹部の痛みや排尿痛
- 性交時の痛み
おりものの増加といってもやや増える程度のことが多く、またニオイもほとんど変わらないため気付きにくいことが特徴的です。放置しておくと後々重症化してしまうケースがあります。
また、性器やのどだけではなく、アナルセックスなどが原因で直腸への感染や、感染者の粘膜を触れた手で目をこすってしまうことで目に感染するケースもあります。
- 肛門周辺の痛みや腫れ
- 肛門からの出血や膿がでる
- めやにが多くなったり充血する
- まぶたの腫れ
point.クラミジアに感染してから発症するまでの期間(潜伏期間)は1〜3週間とされています。ただし、男女とも半数以上は無症状と言われているため感染していても気づかない人が多い病気です。
クラミジアの感染経路
クラミジアは性行為(セックス)によって感染します。オーラルセックスやアナルセックスも含まれ、咽喉への感染があまり知られていないため十分な感染対策をとることができずに多くの人に感染しています。
1回の性行為での感染確率は30%~50%といわれており、精液や腟分泌液、感染した箇所の粘膜が相手の粘膜に接触して感染します。粘膜通しの接触が非常に感染しやすいためコンドームなしでの性行為はリスクが高いと言えます。
通常のセックスはもちろん、感染している人にフェラチオを行った、のどに感染している人にフェラチオをされた、などでのどへも感染します。
しかし、クラミジアは非常に弱い菌で、人の身体から出てしまうと長く生きることができないため性的接触以外ではほとんど感染することはありません。
point.クラミジアは咽喉にも感染する厄介な性病です。キスや一緒にお風呂に入る程度では感染することはまずないと言われていますが、唾液を交換するようなキスの場合は否定できません。
クラミジア感染者の特徴
クラミジアの感染者は若い世代、特に20代の感染者の割合が多いことが特徴的です。また、クラミジアの感染者は女性の割合が多く男性の約2倍といわれています。そして、そのうちの女性の70~80%、男性の50%が無症状で感染していても気づかない人が多いことが現状です。
point.クラミジアは症状が起こらないことが多いため気付かないうちにパートナーに移してしまうことも。そして気付いたときには重症化しているケースがあるため、早めの検査や治療が必要です。
クラミジアを放置しておくと…
男性の場合、クラミジアが尿道から前立腺や精巣まで入り込み、精巣に痛みがでて赤くはれる『前立腺炎』や『精巣上体炎』になるリスクがあります。
女性の場合、感染を放置しているとクラミジアがどんどん奥に入っていき卵巣炎や卵管炎、骨盤腹膜炎を引き起こす可能性があり、卵管炎を引き起こすことで子宮外妊娠や不妊症の原因にも繋がります。
また、出産時に感染していると、赤ちゃんにうつる、いわゆる母子感染が起こる可能性があります。
クラミジアの検査方法や費用について
次に、クラミジアの検査方法や検査が可能な場所、検査にかかる費用について説明します。
クラミジアの検査方法
クラミジアを検査する方法は感染箇所によって異なります。
男性器 |
尿検査(初尿) ※よく健康診断などでは排尿の中間あたりの尿を検査しますが、それは余計な異物が混入しないようにするためです。性病の検査はその『余計な異物』を検査するため初尿をとります。 |
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女性器 |
膣内の分泌物 ※膣内に細長い面病のような物を挿入し、膣の中の分泌物を採取し検査します。 |
のど |
のど周辺の分泌物やうがい液 ※のど周辺の分泌物を長い綿棒のような物で採取するスワプ法がありますが、この方法が吐き気を起こすため、うがい液の検査を行うケースもあります。 |
直腸 |
直腸の分泌物 ※直腸に細い綿棒を挿入し、直腸内の分泌物を採取し検査します。 |
point.上記の採取での検査は抗原検査と呼ばれる検査方法です。抗原とは体外から侵入した病原菌のことで、膣などの分泌物にクラミジアが存在するかを検査する方法です。その他に抗体検査にあたる血液検査もあります。
クラミジアの検査できる場所
クラミジアの検査ができる場所は、主に病院か保健所、郵送検査である性病検査キットがあります。
病院(男性) | 泌尿器科、性病科 |
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病院(女性) | 婦人科(産婦人科)、性病科 |
咽喉(のど) |
性病科・耳鼻咽喉科 ※各保健所では無料で性病検査を行っていますが、月1回ほどしか検査日が設けていないケースも多く、さらに検査項目が少なくクラミジアの検査を行っているか事前に確認が必要です。 |
保健所 |
各都道府県の保健所 ※各保健所では無料で性病検査を行っていますが、月1回ほどしか検査日が設けていないケースも多く、さらに検査項目が少なくクラミジアの検査を行っているか事前に確認が必要です。 |
性病検査キット |
GME医学検査研究所・アルバコーポレーション(STDチェッカー)・ふじメディカル・さくら検査研究所・予防会 ※検査キットを使用した郵送検査を行います。ご自身で検体を採取し、専用の容器に保管してポストに投函し検査所で検査が行われます。後日、スマホやパソコン等で検査結果を確認します。 |
point.症状が強く出ている場合は必ず病院で検査しそのまま治療を行いましょう。
無症状または症状かどうかわからない場合は、性病検査キットを利用することで病院へ行くことなく検査できます。また、検査キットなら咽喉(のど)の検査も同時にできるメリットもあります。『性病検査キットとは?6つのメリット解説!』をご覧ください。
クラミジアの検査料金
クラミジアの検査料金についてです。病院で検査する場合は、症状が出ているケースは保険適用となり、無症状の場合は保険適用外となりますので注意が必要です。
病院 |
診察料:3,000円~6,000円 検査代:4,000円~ 初診料(再診料):1,000円~(200円~) 合計:7,000円~10,000円程度 ※上記の金額は保険適用外で算出しています。 |
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保健所 | 基本的に無料 |
性病検査キット |
3,500円~5,000円 ※性病検査キットをお考えの方は『性病検査キットを選ぶ前に知っておきたい5つのポイント』を参照してください。 |
point.検査にかかる費用は一般的な料金です。実際の検査は、クラミジアだけではなく他の性病の疑いが否定できないため同時に何種類かの性病検査を行うケースがあり、上記の金額よりも費用がかかることが通常です。
どこで検査してもらうか悩む方は『検査キットの信頼性と病院・保健所との検査精度や費用を徹底比較』をご覧ください。
クラミジアの治療方法とは?
クラミジアの治療は主に投薬治療です。クラミジアは菌が原因な為、細菌を殺す抗生剤を用います。
クラミジアには抗生物質
マクロライド系抗生剤またはキノロン系抗生剤のうち、クラミジアに対し抗菌力のあるものを使用。
具体的にはマクロライド系は抗生物質(アジスロマイシン)を含む『ジスロマック』や、キクロン系で抗生物質(レボフロキサシン)を含む『クラビット』が主に使用されています。
以前は、クラミジアの抗生剤としてはクラビットが主流でしたが、ジスロマックは初日に服用するだけで抗菌作用が1週間ほど続くため、今はジスロマックが主流となってきています。
クラミジアの治療費
クラミジアの治療費は、薬代を入れて1回6,000円~7,000円(保険適用)が相場です。もちろん病院によっても異なりますので目安にしていただければと思います。
内訳としては、診察費や検査費が3,000円+初診料1,000円+薬代2,000円といったところでしょうか。
point.クラミジアのみの検査、治療のケースのサンプルです。他の性病の検査や治療が重なると金額が高くなります。また、治療期間が伸び、再検査や薬の投与が長引くとさらに料金が上乗せされます。
クラミジアの治療期間
クラミジアの治療は抗生剤の投薬治療となるため、薬を飲んでいる期間が治療期間となります。
投薬期間はその薬によってややことなりますが、一般的にクラミジアに使用されているジスロマックは投薬期間が約3週間~4週間です。早い段階で検査を行っていれば1週間~2週間程度で終わるケースもあります。
クラミジアは放っておくとどんどん増殖するため、身体の中からクラミジアがなくなるまで投薬します。したがって、再度検査を行って陰性判定を受けるまで治療が続くということです。
point.クラミジアが完全に体から消えないうちに治療を止めてしまうとすぐに増殖して症状が悪化するため完全に陰性判定を受けるまで治療を続けます。特定のパートナーがいる場合は、その間性行為をやめるか、感染の可能性がある場合はパートナーも一緒に検査・治療を受けることを推奨します。
クラミジアの症状・治療まとめ
クラミジアに感染しても症状を感じる人はとてもすくなく、症状が出たとしても軽い排尿痛や少しのおりものの変化のケースも多く検査して初めて『まかさクラミジア感染していたとは…』と気付く人も多い性病です。
症状が出にくいため、そのまま気付かず放置されるされ、パートナーに感染させてしまう上に、精巣や卵巣付近で炎症を起こし将来の妊娠や出産に悪影響を及ぼします。
『もしかしてら性病かも?』と思ったら、早めに病院で検査してみましょう。症状がない方や、その症状が性病科確かめたい方、病院での検査が苦手意識がある方は、『念のため』も含めて性病検査キットでの検査を検討してみてはいかがでしょうか。