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性病の種類と性病名

梅毒(ばいどく)の症状や感染経路、潜伏期間や検査方法の詳細を徹底解説!

梅毒は『梅毒トレポネーマ』という病原菌が原因で発症する性感染症(STD)です。

梅毒の名前の由来は、第2期に見られる赤い皮膚の発疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ていることから楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれたことが由来だそうです。次第に、楊の字が取れ、梅毒と呼ばれるように変わっていったようです。

また、梅毒は1492年、コロンブス一行が新大陸の発見と共に原住民の風土病だったものがヨーロッパに伝わったと考えられています。その時、梅毒は「悪魔のお土産」とも呼ばれている病気となりました。その後、世界中に広がり、現在日本でも感染急増している性病の1つとなっています。

今回は、ここ数年、日本で感染拡大中の、梅毒の症状や感染経路、検査方法や治療について詳しく解説したいと思います。

梅毒の症状や感染経路について

梅毒トレポネーマとは
(参照:Wikipedia)
梅毒は昔から知られる性感染症(STD)の1つです。
 
梅毒の原因である梅毒トレポネ−マ(学名:Treponema pallidum subsp. pallidum)という病原体が、皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入することで感染し、 やがて全身に広がり、さまざまな障害を引き起こす慢性特異性炎症性疾患です。
 
梅毒トレポネ−マはらせん状の形をしており、大きさは直径0.1~0.2 μ、長さ6~20 μで通常の明視野光学顕微鏡では視認できず、暗視野顕微鏡で観察されます。。青い色彩を放つことからpallidum(英語のpale)の種名が与えられているとのこと。
 
梅毒トレポネーマの自然界の宿主は『人』であり、その宿主がいなければ数日も生きられないといわれています。

梅毒の主な症状と潜伏期間

梅毒の症状は、性器や全身の皮膚にできものができるのが特徴的です。しかも、症状は放っておくと自然に消えてしまうので『治った』と勘違いしてしまうこともあるので要注意です。

梅毒の症状は、感染の機会から3週間、3ヵ月、3年、10年以上をポイントに変化していきます。感染後の経過期間とその主な症状を以下で説明します。

経過期間 主な症状

第1期

3週~3ヶ月

第1期の潜伏期間は、感染してからおおよそ3週間ほどです。

梅毒トレポネーマの感染部位(陰部、口唇部、口腔内)に大豆くらいの大きさの硬いしこりができ、痛みはありませんがだんだんと表面が崩れて潰瘍になります。また、太ももの付け根のリンパ節も腫れてくるケースもある。

2~3週間で症状は消えますが、これは自然に治ったのではなく、第2期への潜伏期間であって病原菌(梅毒)が全身に広がりはじめます。

第2期

3ヶ月~3年

丘疹性梅毒疹・梅毒性乾癬といって、全身や手のひら、足の裏に赤いぶつぶつができます。また、肛門や外陰部に腫瘤『扁平コンジローマ』ができます。 さらに、口腔内の潰瘍、発赤、腫脹(梅毒性アンギーナ)や脱毛が見られる。

第2期の症状が表れても、自然に症状が消えて一旦は無症状になりますが、再発を繰り返しながら、第3期・第4期に移行していきます。

第3期

3年~10年

皮膚や筋肉、骨などにゴムのようなこぶ(ゴム腫)が発生し、また、皮膚にしこりができた後に潰瘍となる結節性梅毒疹が生じる。

第4期

10年以上

第3期、第4期ともに現在ではほとんどみられないですが、第4期になると心臓、血管、神経、骨などに病変が広がり障害が現れて、最後は死に至る。

point. 梅毒の症状は、一旦『治った』と思えるほど症状が消えることがありますが、そのままで放っておくことで重症化してしまいます。梅毒は自然治癒がほぼできないため、かならず検査・治療を受けましょう。

ただし、梅毒の症状は他の病気の症状と似ている部分も多く、症状の種類も様々です。梅毒は、偽装の達人とも言われており、医師の診察でも見逃されることが少なくありません。確実な性病検査が必要です。

参考:性病検査キット人気ランキング≫

梅毒の主な感染経路

梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは、HIV(エイズ)と同様に主に、血液・精液・膣分泌液を介して感染します。主にセックス(オーラルセックス・アナルセックス含む)によって、皮膚や粘膜の小さな傷から侵入することによって感染するため、出血を伴いやすいアナルセックスなどは要注意です。

一回の性行為で感染する確率は20%以上とも言われています。また、梅毒の病変部、すなわち性器の粘膜に形成される硬性下疳や、全身の皮膚にできる発疹は、とても感染力が高く、患部から分泌される分泌液等には数多くの梅毒トレポネーマが検出されます。

オーラルセックスでのリスク

  • ペニスに病変部がある人にフェラチオをした→自分の口唇や口内に感染する可能性がある
  • 口唇や口内に病変部がある人にフェラチオをされた→自分のペニスに感染する可能性がある
  • ※クンニリスクも上記と同様です

このようなリスクもあります

  • 梅毒は、オーラルセックスやキスだけでも感染する可能性がある
  • カミソリや注射針の共有で感染してしまうこともある
  • アナルセックスの場合は直腸の中を確認できないので感染リスクは高まります。さらに、直腸は傷つきやすく病原菌が侵入しやすくなっている
  • 梅毒の病変部からHIV(エイズウイルス)が侵入しやすいためHIV感染率の複数感染の可能性が高まる
  • 梅毒は母子感染で赤ちゃんにも感染します。母子感染で赤ちゃんに起こる先天梅毒は、妊婦検診を行うことにより防げるため妊婦健診を受けて治療する必要がある

point. 梅毒はHIV(エイズ)同様に主に血液・精液・膣分泌液で感染します。性行為を除く普段の生活では感染しにくいと思われます。しかし、一旦症状が治まる潜伏期間であっても感染するた注意が必要です。

梅毒とHIV(エイズ)の違い

梅毒とHIVは、どちらも血液からも感染します。感染者からの輸血、臓器の提供、注射針の共用や、出血を伴いやすいアナルセックスで粘膜に付着など、精液や膣分泌以外にも血液を介して感染することが特徴的です。

しかし、梅毒とHIVはそれぞれ異なる症状や治療法です。

梅毒の主な特徴

  • 梅毒はトレポネーマ・パリダムという細菌に感染して発症する
  • 症状としては陰部などのしこりやできもの、太ももの付け根の腫れ、全身や手のひら、足の裏に赤いぶつぶつ、口腔内の潰瘍や発赤などがある
  • 早期発見できちんと治療すれば完治する
  • 治療薬は抗菌薬(抗生物質)

HIVの主な特徴

  • ヒト免疫不全ウイルスに感染して発症する
  • HIVに感染することで免疫システムが崩壊し様々な病気の原因となる
  • 現段階ではエイズウイルスを体から完全に除去する治療薬はない
  • 治療はHIVの増殖を抑えて病状の進行を抑えるという方法をとる

梅毒は、梅毒トレポネーマという菌が原因な為、正しい治療をすることで完治も可能です。しかしHIVは現段階では完全にエイズウイルスを体から除去する万能薬はない状態です。ただし、医療の発展もあり、HIVに感染しても、エイズウイルスを抑制していく治療を行うことで、安定した状態で生きていけるところまで改善しています。

point. 梅毒の病変部からHIV(エイズウイルス)が感染しやすくなるため、出血を伴いやすいアナルセックスなどは注意が必要です。また、梅毒の検査を受ける際は、同時にHIVの検査も受けましょう。

梅毒は自然治癒するってほんと?

梅毒は未治療でも自然治癒するという報告もある性病です。無症候梅毒の患者は、未治療の場合でも、その2/3程度は第3期梅毒(晩期梅毒)には移行せず、無症状のままであることが知られており、残りの1/3程度の患者が第3期梅毒(晩期梅毒)に移行すると言われています。

しかし、放っておくことで重症化するリスクパートナーとピンポン感染するリスク血液から感染するためご家族への感染のリスクを踏まえると、梅毒の検査を受けて感染がわかったら、きちんと治療を行うことが大切です。

point. 無症候梅毒とは、無症状の梅毒のことをいい、皮膚や粘膜などの部位に症状が発症していなくても、血液検査では梅毒の血清反応が陽性となっている状態のことを指します。

参照:『性病検査で病院・保健所・計病検査キットの比較

梅毒の検査方法やその費用について

梅毒は、放っておくとパートナーとのピンポン感染のリスクや、のちに重症化するリスクがあるため、必ず検査しておきたい性病の1つです。梅毒の検査方法や検査が可能な場所や検査費用について説明します。

梅毒の検査方法

通常、梅毒の検査は、血液検査で抗体の有無を調べます。また、梅毒に感染すると、由来の異なる2種類の抗体が産生されるため、2種類の検査法(STS法やTP抗原法)を組み合わせて診断に用います。

STS法 脂質抗原に対する抗体(抗カルジオライピン抗体)を検査する方法で、感染後、約2週間~4週間で検査可能。脂質抗原を炭素粒子に吸着させた抗原粒子を用いて患者の血液中の脂質抗原に対する抗体を検出する。
TP抗原法 梅毒トレポネーマの成分に対する抗体(抗トレポネーマ抗体)を検査する方法で、感染後、約4週間~6週間で検査が可能。TP抗原法には、TPLA法やECLIA法などがあり、患者の血液中の梅毒トレポネーマに対する抗体を測定する。

point. 梅毒に感染しても、すぐには梅毒に対する抗体ができないため、感染機会から2週間程度は検査ができません。一般的には、梅毒の血液検査は感染の機会から1ヵ月後〜できます。また、3ヵ月経過後の検査で陰性であれば感染していないと考えられます。

梅毒の血液検査の結果確認方法

STS法 TP抗原法 解説
(-) (-) 陰性判定。梅毒に感染していない。梅毒感染のごく初期の可能性は捨てきれないため、感染の疑いがあるときは期間をあけて再び検査を行う。
(+) (-) 梅毒感染の初期の可能性が高い。期間をあけて再びTP抗原法の検査を実施して、陽性反応を確認する。または、生物学的偽陽性(BFP)の可能性がある。
(+) (+) 陽性判定。梅毒感染(梅毒未治療)。または梅毒治療中や治療後まもない抗体保有者。
(-) (+) 梅毒治療後の抗体保有者。
または、TP抗原法での偽陽性反応の可能性もある。

point. 生物学的偽陽性とは、梅毒に感染していないのにもかかわらず、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、肝疾患などが原因で、STS法(RPR検査)が 陽性となる場合があること。

また、梅毒の治療を行い治癒すると早い時期に“脂質抗原に対する抗体”が陰性化し、もう一つの“梅毒菌体成分に対する抗体”は長い時間をかけて、徐々に低下していくため、TP抗原法での判定は治療後でも(+)判定が出ることがあります

梅毒の検査ができる場所や方法について

梅毒の検査ができる場所は、主に病院か保健所、郵送検査である性病検査キットがあります。なお、感染機会からおおむね1ヵ月から検査受付が可能で、検査方法は採血です。

病院(男性) 皮膚科、泌尿器科、性病科
病院(女性) 皮膚科、婦人科(産婦人科)、性病科
保健所

各都道府県の保健所

※各保健所では無料で性病検査を行っていますが、月1回ほどしか検査日が設けていないケースも多く、さらに検査項目が少なく梅毒の検査を行っているか事前に確認が必要です。

性病検査キット

GME医学検査研究所・アルバコーポレーション(STDチェッカー)・ふじメディカル・さくら検査研究所・予防会

※検査キットを使用した郵送検査を行います。ご自身で検体を採取し、専用の容器に保管してポストに投函し検査所で検査が行われます。後日、スマホやパソコン等で検査結果を確認します。

参考:各性病キットメーカーの比較はこちら≫

point.症状が強く出ている場合は必ず病院で検査しそのまま治療を行いましょう。

無症状または、それが梅毒の症状かわからない場合は、性病検査キットを利用することで病院へ行くことなく検査できます。性病は自然治癒がほぼできないため、まずは検査することが大切です。『性病検査キットとは?6つのメリット解説!』をご覧ください。

梅毒の検査料金

梅毒の検査料金についてです。病院で検査する場合、症状が出ているケースは保険適用となり、無症状の場合は保険適用外となります。保険適用の有無によって料金に差がありますので注意が必要です。

病院

診察代:3,000円~5,000円

検査代:1,500円~

初診料(再診料):1,000円~2000円(200円~1,000円)

合計:6,000円~8,000円程度

※上記の金額は保険適用外で算出しています。症状がある場合は保険適用になり3割負担となります。陽性判定の場合、治療のための薬代も別途必要です。

保健所

基本的に無料

※梅毒の検査を行っていない保健所もありますので事前に確認しましょう。

性病検査キット

3,500円~5,000円

※性病検査キットをお考えの方は『性病検査キットを選ぶ前に知っておきたい5つのポイント』を参照してください。

point.検査にかかる費用は一般的な料金です。実際の検査では、梅毒だけではなく他の性病の疑いが否定できないため同時に何種類かの性病検査を行うことが通常であり、上記の金額よりも費用がかかることが通常です。

どこで検査してもらうか悩む方は『検査キットの信頼性と病院・保健所との検査精度や費用を徹底比較』を参照してください。

梅毒の治療方法・治療薬について

梅毒の治療は、主に抗生物質であるペニシリン系のアモキシシリン(サワシリン)を、それぞれの症状に応じた期間で服用します。

梅毒の治療期間

梅毒の治療期間は、症状や梅毒に感染してからの経過期間によって異なります。1年未満で治療を行えば、1~2ヶ月ぐらいの抗生剤の服用で治癒します。しかし、治療が遅れるほど治療に時間を要するようになります。

経過期間 治療薬の服用期間の目安
第1期梅毒 2〜4週間
第2期梅毒 4〜8週間
第3期梅毒 8〜12週間
治療が必要な無症状の梅毒で感染時期が不明なもの 8〜12週間
治療終了後 再検査や定期検査で完治したか確認

point. 特定のパートナーがいる場合は、感染している可能性が高いため、再発を阻止するためにもパートナーと一緒に検査・治療を受けることを推奨します。

梅毒の治療薬アモキシシリンとは

アモキシシリンは、ペニシリン系抗生物質に属する抗生剤で、病気の原因となる細菌を殺す薬の成分で「アモキシシリン」という薬の名前としても利用されています。治療薬の費用は、服用期間によって異なりますが、おおよそ3,000円~5,000円程度でしょう。

この成分は、1970年代にグラクソ・スミスクラインが開発したものです。現在日本ではアステラス製薬が販売する「サワシリン」などが、このアモキシシリンを含んだ薬として特に有名です。

アモキシシリンは、グラム陽性菌と一部のグラム陰性菌に対して効果を発揮するため、性病の中では、梅毒や淋病などで使用されます。特に、梅毒では第一選択薬としてあげられています。

梅毒の症状・検査方法まとめ

梅毒は梅毒トレポネ−マという病原体に感染して発症する性病です。梅毒の特徴は、無症状の期間があっても密かに病状が進行していることや、症状が他の病気と見分けがつきにくいところにあります。梅毒を放っておくことで症状が悪化し、最悪の場合、死に至ることもあるとても怖い性病です。

また、血液からの感染も認められるため、アナルセックスなどの出血を伴いやすい性行為や、カミソリや注射針の共有も要注意です。

『もしかしてら性病かも?』と思ったら、必ず病院で検査してみましょう。症状がない、またはその症状が性病なのか知りたい方は、念のため病院や検査キットでの検査を検討してみてはいかがでしょうか。

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