『性器にとがったイボイボができた…』
『おしりにぶつぶつ(いぼ)が…これって性病?』
尖圭コンジローマとは、性交為あるいはその類似行為によりヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し感染することで性器やその周辺に小さなイボを作る性感染症です。日本でも20代女性を中心に広がっています。
ちなみに、読み方は尖圭(せんけい)コンジローマです。『尖圭』には『とがった』という意味があり、尖圭コンジローマは『陰部や肛門に生じる「とがった」いぼ状の病変』ということです。
今回は、尖圭コンジローマの原因、症状、感染経路、さらに検査方法や治療方法、治療薬まで、わかりやすく徹底解説したいと思います!
尖圭コンジローマの症状や感染経路について
陰部に2mmくらいのイボができてきたら、もしかしたら性感染症である尖圭コンジローマかもしれません。まずは尖圭コンジローマの症状、原因、感染経路を説明します。
尖圭コンジローマの主な症状
尖圭コンジローマを発症すると、男女ともに外陰部や肛門周囲に乳頭状のイボができます。イボの大きさは2ミリ〜指先ができて、次第に増えていき、イボどうしがくっついて巨大なカリフラワー状・鶏冠(トサカ)状になる場合もあります。
痛みや痒みを伴うことは少なく、イボに気づかなければほとんど自覚症状がありません。そのため、気づかないうちに病気が広がっていたり、複数のパートナーに感染させてしまうことがあります。まれに、イボが大きくなることで痛みや痒みが出ることがあります。
感染しても、約90%の人が自己免疫によりウイルスを排除できるといわれています。しかし、排除できずに尖圭コンジローマを発症してしまうと、完全にウイルスを排除することは難しく、再発を繰り返してしまいます。
尖圭コンジローマの潜伏期間
尖圭コンジローマは、感染してから発症するまでの期間、つまり潜伏期間は約3週間~8ヶ月といわれています。目で見てわかるくらいのイボが出来るまで、少なくとも3週間以上はかかるため、感染機会が特定できないケースがあります。
尖圭コンジローマの原因はヒトパピローマウイルス
尖圭コンジローマの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが、性交為などにより、皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し、性器やその周辺に小さなイボを作ります。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、現在100種類以上の遺伝子型に分類されています。そのなかで尖圭コンジローマは、HPV6型、あるいはHPV11型の感染によって引き起こされることが知られています。
6型や11型は皮膚にイボを作るタイプのものです。基本的には、陰茎がんや子宮頸がんの原因となることはないため「ローリスクタイプ」に分類されています。
point.女性の場合、尖圭コンジローマになった人の一部に、子宮頸がんの原因となるハイリスクタイプのHPVに同時感染していることがあるため注意が必要です。
尖圭コンジローマの感染経路
主な感染経路はセックス(オーラルセックス・アナルセックスを含む)です。ヒトパピローマウイルス(HPVの6型あるいは11型)が、性行為によって粘膜や傷口を介して感染することが原因です。特に、性器同士の接触は感染確率が高いといえます。
また、セックスパートナーが多い人、不特定多数とのセックスをしてしまった人は感染機会が多いため、その分感染リスクも高まります。
point.肛門内の尖圭コンジローマは、同性愛者の肛門性交が原因となる場合が多いです。ヒトパピローマウイルス(HPV)は傷口からの感染しますので、出血を伴いやすいアナルセックスはリスクが高いといえます。
尖圭コンジローマの重症化・母子感染のリスク
尖圭コンジローマの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)のほとんどは『ローリスクタイプ』といって乳頭状のイボができるタイプです。
しかし、まれに『ハイリスクタイプ』に分類されている16型や18型などのものが子宮頸部に感染すると、子宮頸がんのリスクが高くなります。ローリスクタイプとハイリスクタイプの両方に感染することも珍しくありません。『感染=がん』というわけではありませんが、ハイリスクタイプのHPVに感染した場合はよりこまめに子宮頸がん検診を受ける必要があるでしょう。
また、女性の場合、出産の時に膣内や外陰部にイボがあると、そこからヒトパピローマウイルス(HPV)が感染し、赤ちゃんにコンジローマのイボができたり、喉にウイルスによるイボができたりすることがあります。
尖圭コンジローマの再発について
尖圭コンジローマは、視診上治癒しても、3ヶ月以内に約25%は再発します。
パートナーからの再感染よりも、再発のほうが多いとされています。しかし、完治していない状態でパートナーとセックスすることで『ピンポン感染』を引き起こす可能性があり、重症化の原因となります。
尖圭コンジローマの検査について
尖圭コンジローマの一部は、放置してしまうと子宮頸がんを起こしてしまう可能性があります。また、大きさや発生部位になどにより、軽い痛みやかゆみがある場合もありますが、自覚症状はほとんどないため見落としがちな性感染症です。もし感染機会に心当たりがある場合は必ず検査を行いましょう。
尖圭コンジローマの検査方法
尖圭コンジローマの検査はおおむね3種類(視診・組織診・遺伝子検査)あります。
検査方法 | 説明 |
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視診 | 医師が直接イボを観察して診断します。 |
組織診 | 組織を採取し、顕微鏡で観察して病理診断を行います。 |
遺伝子検査 | ウイルスの遺伝子を検出する方法(ハイブリッド・キャプチャー法やPCR法)があります。 |
尖圭コンジローマの検査場所と検査費用
尖圭コンジローマを含む性病の検査は、病院などの医療機関や保健所があります。また、郵送検査である性病検査キットでも高い精度で性病検査が可能です。
検査場所 | 説明 |
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病院 |
泌尿器科・皮膚科・婦人科・性病科・肛門科 検査費用:約8,000円~13,000円 ※保険適用外の金額の目安です。症状がある場合は保険適用になります。 |
保健所 |
各都道府県の保健所 ※保健所での性病検査は基本的には無料です。しかし、保健所では性病検査ができる日が月に1回など日程が決まっていることや、検査項目が限られているため、事前に電話で確認が必要です。 |
検査キット |
GME医学検査研究所・さくら検査研究所・アルパコーポレーション・ふじメディカル・予防会 検査費用:約5,000円~7,000円 ※性病検査キットでの検査は病院へ行く必要もありませんし保険証不要です。詳しくは『性病検査キットの6つのメリット!』を参照してください。 |
point.尖圭コンジローマの明らかな症状がある場合は直ちに病院で診察・治療が必要です。症状がない方や、『症状かどうか確かめたい』『念のため検査しておきたい』という方、郵送検査での検査を推奨しています。
尖圭コンジローマの治療や予防について
尖圭コンジローマに治療方法
尖圭コンジローマの治療方法は「外科療法」と「薬物療法」の2です。
外科療法として、イボ、コンジローマが出来ているのであれば、薬物療法、凍結療法、又は電気メスやレーザー蒸散などによる外科的療法などの方法がありますが、全ての尖圭コンジローマを確実に治療できる治療法は今のところありません。
薬物療法としては、現在保険で使用できる外用薬は、イミキモド5%クリーム(ベセルナクリーム5%®)のみとなります。イミキモド5%クリームは、外性器と肛門周囲の尖圭コンジローマに対して優れた効果を発揮します。ウイルスから身体を守る免疫機能を高めるので、HPVの増殖を抑えたり、ウイルスが感染した細胞を障害したりしてイボを治します。
尖圭コンジローマは、治療時に見えているものを全て除去しても、他の部位に感染していることがあり、数週間の間隔で繰り返し治療が必要になります。またイボなど、そういったものがないのであれば、治療は出来ないため経過観察となる場合があります。
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HPVのワクチン・予防方法
女性はワクチン接種を行う事でコンジローマを予防する事ができます。子宮頸がんの原因となるHPV16型と18型、コンジローマの原因となるHPV6型と11型の、4種類のHPVを予防できる「ガーダシル」というワクチンを接種すればコンジローマを防ぐ事ができます。
ただし、ウイルスに感染する前にワクチンを打たなければ意味がないので、感染機会ができる前、つまり性交経験がないうちに接種することが重要です。
また、性行為の際にコンドームを正しく使用することは予防に繋がります。しかし、肛門など性器以外の感染の場合は、感染を防ぐことは難しいと思われます。
不安な方はすぐにでも検査を!
性感染症は、早期発見と正しい治療が大切です。郵送検査キットなら、保険証不要・匿名で誰にも知られずに性感染症の検査を受けることができます。
性感染症は、性行為の経験があれば誰でも感染する可能性があります。また症状が軽度や無症状のことが多いため検査をして初めて感染に気付くことがほとんどです。放置してしまうと重症化や不妊症の原因になることがあるため、必ず検査を行いましょう。