淋病(淋菌感染症)は最も感染者が多い性感染症のひとつです。簡単に治るイメージがありますが、実は再発率が約1割~2割あり、なかなか完治せずに困っている方が多いのです。
淋病(淋菌感染症)とは?
『性病』の中でも感染力が強い淋菌感染症(以下:淋病)とは、淋菌という細菌が原因で起こる性感染症(STD)のことを指す病名で、性病の中でも代表的な感染症のひとつだと言われています。
淋病に感染すると、女性は無症状のケースが多いですが、おりものが増えたり、不正出血をしたり、下腹部の痛みや排尿時の痛みを感じる人もいます。
男性は症状が出やすく、性器の腫れや尿道の痛みやかゆみを感じたり、尿道から膿が出たり発熱したりするケースが多いです。
1回の性行為によって感染する確率は約30%ほどといわれています。また、感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は2日~7日程度(男性のほうがやや早めに症状が出やすい)ですが、潜伏期間を超えても自覚症状が出にくいため、いつ感染したかが極めて分かりにくくなっています。
淋病は喉(のど)にも感染します。オーラルセックスが一般的が進む近年は、性器だけでなく、喉(のど)にも感染し、喉のイガイガなど普通の風邪のような症状を引き起こします。喉(のど)に感染している人からオーラルセックスを受けると性器に感染する恐れがあります。
淋病に感染している場合は、クラミジアを併発している可能性が高くなります。淋病感染者の20~30%程度がクラミジアを併発しているとされているといわれています。
淋病が治らない考えられる原因とは
では、淋病がなかなか治らない、完治せずに再発してしまう原因は何なのでしょうか?実はさまざまな要因が考えられます。
- セックスパートナーが感染していて(治療が完了していなくて)ピンポン感染を引き起こしている
- 独自で判断した治療薬を服用している
- 症状が治まったからといって途中で治療をやめてしまった
- 治療薬が効きにくいタイプの淋菌に感染している
- 実は他の性病に感染している
1.パートナーとピンポン感染
もしかしたらセックスパートナーとピンポン感染を引き起こしているかもしれません。
パートナーの片方が淋病の治療を終えていても、もう片方が治療していない、または治療を終えていない状態でセックス(性行為)を行うことで、お互いに移し合ってしまっている可能性があります。
実は、淋病に感染しても症状が出ない場合が多いのです。男性のほうが比較的症状が出やすいとされていますが、それでも全体として5割~8割くらいの人は無症状または気づかない程度の症状と言われています。一見感染していなくてもセックスパートナーも一緒に検査や治療を行うことが大切です。
point.一見感染していなくてもセックスパートナーも一緒に検査や治療を行うことが大切です。淋病の治療が完了するまで性行為は控えたほうが得策です。
2.独自で判断した治療薬や治療方法を行っている
淋病の治療薬を独自の判断で購入したり、独自で購入した治療薬を服用している場合、体内の淋菌を排除しきれずに淋病を再発させてしまう可能性があります。
淋病の治療には、淋菌を殺したり増えるのをおさえるための治療薬(抗菌薬)による治療が必要です。
- 一般的には、抗菌薬のセフトリアキソンの静脈注射、あるいはスペクチノマイシンの筋肉注射を行います。
- 注射は基本的に1回でおおよそ1週間程度の治療期間ですが、重症の場合などでは複数回注射します。
- 咽頭感染ではスペクチノマイシンは効果が低いため、セフトリアキソンの静脈注射のみとなります。
- 一般的には、治療3週間後に再検査をお受けいただき、陰性の結果が出れば完治とみなされます。
point.抗生物質の点滴、もしくは飲み薬を使用します。淋菌性尿道炎に使用される筋肉注射は、のどへの移行がよくないため使用しません。
3.症状が治まったから治療を途中でやめてしまった
1回の治療でいったん症状が治まったとしても、淋菌が体内から完全に抜けきっていない状態の可能性があります。その場合、体内に残った淋菌が徐々に増殖し再発してしまいます。
基本的に、治療3週間後に再検査を行い、陰性の結果が出れば完治とみなされます。1回の治療で完治する場合もありますが、淋病は薬剤耐性菌が結構あるため、完全に治ったことを確認するため、治療後に必ず再検査を受けてください。
また、いったん淋病が完治したにも関わらず再発したケースでは、咽頭感染(いんとうかんせん)を起こしている可能性があります。喉(のど)に感染した淋菌は、筋肉注射が効きにくいため経口薬や点滴と併用して治療します。
point.淋病の治療は、再検査後【陰性】となって初めて治療完了します。必ず再検査を行いましょう。
4.薬が効かないスーパー淋菌に感染している
近年、抗生物質への耐性を持った淋菌である【スーパー淋菌】が増加しています。
スーパー淋菌は、淋病治療の特効薬とされてきた【セフトリアキソン】への耐性も確認されており、薬を服用したのに淋病が治らない場合、この耐性菌への感染が疑われます。
しかし、スーパー淋菌は【すべての抗生剤が効かない】ということではありません。淋病に効果的な抗生剤は複数あり、薬の内服以外にも点滴・筋肉注射で治療することが可能です。
淋病は完治する病気ですが、一度の治療で治らない可能性もあります。そのため「薬を飲んだかからもう病院に行かなくていい」と自己判断するのではなく、必ず治療後に医療機関で再検査を行うことが大切です。
5.クラミジアなど他の性病に感染している
性病は1つの種類だけではなく、数種類の同時感染もありえます。特に、淋病に感染した人の約20%~30%がクラミジアにも同時感染していると言われています。
淋病の治療を行って、淋病は完治しても、もしかしたら違う性病に感染しているため、なんらかの症状が続いている可能性があります。
性病の症状、とくに初期症状や軽い症状の場合は似ているものも多いので、症状だけでは区別がつきにくいです。さらに、性病の種類によって治療薬が全く異なるため、ひとつの性病を目的とした治療薬は、他の性病に効き目がありません。
point.淋病の治療をしても、何らかの症状が続いている場合は、もしかしたら他の性病に感染している可能性があります。一度、幅広い検査を受けることを検討してみてはいかがでしょうか。
淋病が治らないときの対処方法
男性の感染者数の報告が多い性感染症が淋菌感染症(淋病)です。淋病は男性が感染すると尿道の激しい痛み・膿などの症状が現れやすく、一方で女性の症状は軽いことが多いため、女性患者数よりも男性患者数が多くなっていると考えられています。
セックスパートナーの検査と治療を同時に行う
淋病は完治すれば「再発」することはありません。しかし完治したとしても、パートナーが治療をしていなければ、パートナーとの性交渉で「再感染」してしまう可能性が高くなります。
ディープキスやオーラルセックス(フェラなど)によって喉(のど)へ再感染する可能性もあります。喉(のど)への感染がみられる場合、性器淋病と治療方法が異なる場合があるため治療が長引く場合があります。
淋病に限らずですが、性感染症ではパートナー同士がお互いに感染させあうピンポン感染が非常に多くなっています。特定のセックスパートナーがいる場合は、ご自身だけでなくセックスパートナーも一緒に治療し、治癒後も感染予防に努めましょう。
淋病の治療は【再感染にて陰性】を確認するまで
淋病の治療を始めてから、一度も性行為(ディープキスやオーラルセックスも含む)がないのに再発してしまう方は、薬の治療期間中に途中でやめてしまった、再検査を怠ったなど、何らかの原因で治療期間を終えても完治できなかった可能性があります。
一般的に、淋病の治療は2~3週間程度ですが、個人差もあり3週間~4週間ほどかかる人もいらっしゃいます。淋病は体内にいる限り、増殖して再発してしまいます。淋病の治療は再検査で【陰性】となるまでしっかり続けましょう。
淋病以外の性病を疑う
淋病に限らずですが、性病の症状が治らない方は、他の性病の感染も疑いましょう。実は性病は、同時に2種類以上に重複して感染することもあります。
特に最初の検査で淋病のみの検査しかしなかった方は、念のために他の性病検査も行ったほうが良いでしょう。特に、比較的症状が似ているクラミジアは、淋病と重複感染の事例が多く要注意です。
性病の種類によって治療薬が異なります。そのため、淋病以外にも他の性病に感染している場合は、その性病に合った適切な治療薬が必要なのです。
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