性感染症での尿道炎や膣炎の原因の多くは、クラミジアや淋菌が挙げられますが、実は「非クラミジア性非淋菌性尿道炎」と呼ばれるクラミジアや淋病以外が原因での尿道炎(膣炎)も、近年、多数報告されています。
その原因菌として、マイコプラズマ・ウレアプラズマが注目されています。なかなか治らない尿道炎や再発する尿道炎にお困りの方は、もしかするとマイコプラズマやウレアプラズマが原因かもしれません。今回は、そのマイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法や治療薬(抗生物質)について解説します。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療方法
マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療薬の前に、治療方法について簡単に説明します。
性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症は『菌』が原因のため、体内の菌を除去する目的で抗生剤(抗生物質)の投与を行います。マイコプラズマかウレアプラズマによって抗生物質の種類や治療期間が異なる場合がありますが、おおむね1週間~2週間程度、決められた抗生剤を服用します。
病名 | 治療薬と服用期間の目安 |
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マイコプラズマ |
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ウレアプラズマ |
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マイコプラズマ・ウレアプラズマの治療薬・抗生物質について
マイコプラズマは、細胞壁がないため、すべてのβ-ラクタム(ペニシリン、セファロスポリン、カラバペネム、モノバクタム)とグリコペプチド系抗生剤は効かないため、ニューキノロン系の抗生物質などが使用されます。
ニューキノロンとは?
キノロン系の抗生物質は、ニューキノロンとオールドキノロンがあり、そもそもキノロン系とは、抗生物質はペニシリンの登場から沢山の種類が開発されていて、多くの抗生物質は天然物から抽出してきたものですが、人工的に、発見、合成された抗生物質もあります。その代表がキノロン系抗菌剤です。
ニューキノロンとは、ノルフロキサシン以降に開発されたキノロン系抗生物質に付けられた総称であって、ニューキノロン系の特徴としては『代謝安定性が向上し体内動態が改善された』や『抗菌スペクトラムが広い』ことが挙げられます。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの種類によって治療薬が異なる
日本で、性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症の検査が行われるようになったのが 2012年からと比較的最近知られるようになった感染症となります。
泌尿生殖器に病原性のあるマイコプラズマ・ウレアプラズマ原因菌には主に下記の 4 種類が知られております。
・Mycoplasma genitalium
・Mycoplasma hominis
・Ureaplasma parvum
・Ureaplasma urealyticum
マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症の治療では、4種類ある原因菌のどれが検出されるかに合わせて治療薬を変更しています。複数の菌が重複して感染していることもあり、その場合は治療期間が長くなったり治療薬が複数となることもあります。
原因菌に合わせて適切な治療を選択した場合の治療効果は、おおよそ80~90%近くになると考えられております。ですが、クラミジアと比較して効果のある治療薬の選択肢が限られていることが現状です。
また、マイコプラズマ・ウレアプラズマは薬剤への耐性化も進んでいると考えられるため、治療薬の適切な容量と期間を選択が重要となります。
マイコプラズマ・ウレアプラズマに使用される治療薬
種類 | 抗生剤 |
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M.genitalium | フルオロキノロン・アジスロマイシン |
M.hominis | テトラサイクリン・ドキシサイクリン・クリンダマイシン(妊娠中) |
U.parvum | ドキシサイクリン・アジスロマイシン(妊娠中) |
U.urealyticum | ドキシサイクリン・アジスロマイシン(妊娠中) |
上記の抗生物質は一例ですが、感染しているマイコプラズマ・ウレアプラズマの種類によって治療薬が使い分けられます。また、以下のような処方例もあるようです。
種類 | 処方例 |
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M.genitalium |
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U.parvum |
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マイコプラズマ・ウレアプラズマは検査されないことも
実は日本では、医師の方でも、その存在自体を知らない方も多いといいます。検査を思いつかないどころか、的確に治療が施されない場合もあるのが現状のようです。
それは、マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査が、保険適応外の検査であることも原因の1つと考えられています。クラミジアや淋病の検査で陰性判定を受けても、尿道炎(膣炎)がなかなか治らない方は、もしかしたらマイコプラズマ・ウレアプラズマが原因かもしれません。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査を希望される方は以下の記事を参照してください。
性器マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染症はは、『マイコプラズマやウレアプラズマ』という病原菌が原因で発症する性感染症(STD)です。